自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 うつむく俺を、ドロシーはジッと見つめ……、そして俺の手を取って明るく言った。
「行ってみましょ!」

 俺は電話でアポを取る。懐かしい母親の声につい泣きそうになってしまった。

       ◇

 ピンポーン!
 懐かしい実家の玄関の呼び鈴を押す。
「ハーイ、どうぞ」
 インターホンから母親の声がして、ガチャッとドアが開いた。
 出てきたのは約二十年ぶりの懐かしい母親だった。すっかり老け込んで白髪も目立ち、痩せこけていた。俺は目頭が熱くなるのを押さえ、
「電話した者です。お忙しいところすみません」
 そう言って頭を下げた。

 俺たちは応接間へと通された。懐かしい家の匂いがする。
 テーブルの向こうに母と父が並び、怪訝そうな顔でこちらを見る。
「で、豊の知り合いということですけど、どういったご要件ですか?」
 父親が淡々と聞いてくる。
「パパ、ママ、俺だよ、豊だよ」
 俺は穏やかな笑顔で言った。
「え? 豊?」「はぁ?」
 唖然(あぜん)とする両親。
「信じられないと思うんだけど、一回死んで生まれ変わったんだ」
「え? 豊の生まれ変わり?」
 ママが目を丸くして俺を見る。
「そこのガラスの絵皿、俺が富士山で描いたポケモンだろ、それから、あの写真は箱根に行った時に撮った奴だ。この写真の後、俺が転んで迷惑かけちゃった……、ゴメンね」
 パパとママは顔を見合わせ、信じられないという顔をした。

「ほ、本当に豊なの?」
「最後に一緒に行った旅行はどこだ?」
 パパが険しい目で俺を見て聞く。
「最後……。スペインかな? マドリードから寝台でバルセロナへ行って……サグラダファミリア見たかな? そうそう、サグラダファミリアの近くのコインランドリーで洗濯したよね」
「豊――――!!」
 ママがいきなり飛びついてきた。
「おーぅおぅおぅ……」
 号泣するママ。
 俺もつられて涙がポロポロとこぼれてきた。
「親不孝でごめん。言うこと聞かなくてコロッと死んじゃって……。本当に反省しているんだ」
「ホント、バカだよ、この子は!」
 しばらく二人は抱き合っていた。

「で、今はどういう暮らしをしているんだ? こちらの女性は?」
 パパが聞いてくる。
「あ、今はとある会社にお世話になってるんだ。そして、彼女は妻なんだ」
 ドロシーはぎこちなくお辞儀をする。