急いで【φ】の文字を書いてトントンと叩いた……が、何も起こらない。
「えっ!? なんでだよ!」
何度も何度も【φ】を書いた。
しかし、鏡はいつまで経ってもただの鏡だった。
なぜだ? 亀裂は解決できてたじゃないか。なぜ、俺だけ日本に戻された?
いきなり日本に戻されたということは、海王星でのミッションが失敗したからとしか考えにくい。それはすなわち……、ミネルバの星の消滅……。
エステルもミネルバももうこの世にいないってこと……?
全身の血の気がサーっと引いていくのを感じ、ひざから崩れ落ちた。
「え……、まさか……、そんなことないよなぁ!? おい……、エステルぅ……」
涙をポトポトと落とし、鏡をバン!と叩いた。
「うわぁぁぁ……」
床に崩れ、無様に泣き続けた。
全てを失ってしまった。サーバーは壊れてしまったのだ。もう異世界はこの世にないのだろう。エステルもみんなももう消えてしまったのだ。
「ぐぁぁぁ……」
もうすべてが嫌になった。就活地獄を強いるこのクソッタレな日本社会も、マリアン一人に滅ぼされてしまうぜい弱な異世界も、エステルに大切なことも言えずに失ってしまった俺のいい加減な生き方も全てにウンザリだった。
「あぁぁぁ……」
そのまま床にあおむけに寝転がると、ぼんやりと薄暗い天井を見ながら、ただただ涙を流し続けた。もう何も頭に浮かばなかった。
もう壊れてしまったように、床を濡らし続けた。
◇
涙が枯れた頃、俺はスマホを取り出して先輩に電話をかけた。しかし、出ない……。
俺はメッセンジャーでメッセージを送る。
『ごめんなさい、世界を救うのに失敗しました。もう一度チャンスをもらえませんか?』
しかし、既読スルーだった。失敗した者はもう要らないという事だろうか。俺は先輩にも捨てられてしまったのだ。
ベッドに横になり、一縷の望みを託し、スマホを抱いて寝る。
薄れゆく意識の中で、今後どうやって生きていったらいいか考えていた。異世界が無くなったなら、もう一度就活を始めないといけないのかもしれない。でも、今さら就活? 世界一つ滅ぼし、何億人も殺しておいて自分は就活かよ……。
エステルに会いたい。エステルのあの屈託のない笑顔に癒されたい。
「エステルぅ……」
「えっ!? なんでだよ!」
何度も何度も【φ】を書いた。
しかし、鏡はいつまで経ってもただの鏡だった。
なぜだ? 亀裂は解決できてたじゃないか。なぜ、俺だけ日本に戻された?
いきなり日本に戻されたということは、海王星でのミッションが失敗したからとしか考えにくい。それはすなわち……、ミネルバの星の消滅……。
エステルもミネルバももうこの世にいないってこと……?
全身の血の気がサーっと引いていくのを感じ、ひざから崩れ落ちた。
「え……、まさか……、そんなことないよなぁ!? おい……、エステルぅ……」
涙をポトポトと落とし、鏡をバン!と叩いた。
「うわぁぁぁ……」
床に崩れ、無様に泣き続けた。
全てを失ってしまった。サーバーは壊れてしまったのだ。もう異世界はこの世にないのだろう。エステルもみんなももう消えてしまったのだ。
「ぐぁぁぁ……」
もうすべてが嫌になった。就活地獄を強いるこのクソッタレな日本社会も、マリアン一人に滅ぼされてしまうぜい弱な異世界も、エステルに大切なことも言えずに失ってしまった俺のいい加減な生き方も全てにウンザリだった。
「あぁぁぁ……」
そのまま床にあおむけに寝転がると、ぼんやりと薄暗い天井を見ながら、ただただ涙を流し続けた。もう何も頭に浮かばなかった。
もう壊れてしまったように、床を濡らし続けた。
◇
涙が枯れた頃、俺はスマホを取り出して先輩に電話をかけた。しかし、出ない……。
俺はメッセンジャーでメッセージを送る。
『ごめんなさい、世界を救うのに失敗しました。もう一度チャンスをもらえませんか?』
しかし、既読スルーだった。失敗した者はもう要らないという事だろうか。俺は先輩にも捨てられてしまったのだ。
ベッドに横になり、一縷の望みを託し、スマホを抱いて寝る。
薄れゆく意識の中で、今後どうやって生きていったらいいか考えていた。異世界が無くなったなら、もう一度就活を始めないといけないのかもしれない。でも、今さら就活? 世界一つ滅ぼし、何億人も殺しておいて自分は就活かよ……。
エステルに会いたい。エステルのあの屈託のない笑顔に癒されたい。
「エステルぅ……」



