動画を見ていると、シャトルのカメラが何かの明かりをとらえ、直後に爆発炎上して映像が途切れた。
レーダーの画像を見ていると、針路はほとんど変わっていない。やはりダメかと落胆しかけた時、急に針路が大きく変わった。なぜだかわからないが、これなら衝突は回避できそうである。
「どう? 上手くいった?」
走りながらミネルバが魔王と通信している。
「うん、うん。やったじゃない!」
弾む声が聞こえ、ミネルバは立ち止まる。
どうやら上手くいったようだ。これで危機は回避できたという事だろう。これで一安心だ。
◇
この少し前にエステルはシステムに回答をしていた。
『ミネルバとソータ、二名に重大な命の危険があります。衝突回避しますか? はい/いいえ』
これに対してエステルが押した先はなんと『はい』だった。エステルは生まれて初めてマリアンに逆らったのだった。
「うわぁぁ!」
激しい頭痛がエステルを襲い、エステルは椅子から転げ落ちてのたうち回る。マリアンの命令に背いた罰は苛烈なものだった……。
エステルはなぜ自分がそんな事をしたのか全く分からなかった。でも、薄れゆく意識の中で、絶対に譲れない大切なものを守った充実感にエステルは満足していた。
◇
俺はそんなことになっているなんて全く気が付かずに、ただ漫然と喜んでいた。
ところが……。
「え? コンテナ……? 十五階の五十番辺り……。外壁は耐えられるの? ……。いやちょっとそこ重要なんだけど……。うん……、うん……。仕方ないわね……。分かった……」
ミネルバは暗い声で通話を切ると、逆方向に走り出して言った。
「場所が変わったわ、ついてきて!」
「ど、どうなったんですか?」
「貨物船は回避できたんだけど、積み荷が散乱してコンテナの一つが衝突軌道上にあるそうなのよ」
「コンテナなら耐えられますか?」
「積み荷によるから分かんないって……」
「そんなぁ……」
「急ぎましょ! 衝突までもう時間がないわ!」
一難去ってまた一難。コンテナが衝突してくるのはもう確定らしい。外壁が耐えてくれるかどうか……。俺は暗い想いに押しつぶされそうになりながらミネルバの後を追った。
「ハァハァ……。ここよ、準備して! 来るわよ!」
ミネルバは粘着ゴム銃のロックを外しながら言った。
レーダーの画像を見ていると、針路はほとんど変わっていない。やはりダメかと落胆しかけた時、急に針路が大きく変わった。なぜだかわからないが、これなら衝突は回避できそうである。
「どう? 上手くいった?」
走りながらミネルバが魔王と通信している。
「うん、うん。やったじゃない!」
弾む声が聞こえ、ミネルバは立ち止まる。
どうやら上手くいったようだ。これで危機は回避できたという事だろう。これで一安心だ。
◇
この少し前にエステルはシステムに回答をしていた。
『ミネルバとソータ、二名に重大な命の危険があります。衝突回避しますか? はい/いいえ』
これに対してエステルが押した先はなんと『はい』だった。エステルは生まれて初めてマリアンに逆らったのだった。
「うわぁぁ!」
激しい頭痛がエステルを襲い、エステルは椅子から転げ落ちてのたうち回る。マリアンの命令に背いた罰は苛烈なものだった……。
エステルはなぜ自分がそんな事をしたのか全く分からなかった。でも、薄れゆく意識の中で、絶対に譲れない大切なものを守った充実感にエステルは満足していた。
◇
俺はそんなことになっているなんて全く気が付かずに、ただ漫然と喜んでいた。
ところが……。
「え? コンテナ……? 十五階の五十番辺り……。外壁は耐えられるの? ……。いやちょっとそこ重要なんだけど……。うん……、うん……。仕方ないわね……。分かった……」
ミネルバは暗い声で通話を切ると、逆方向に走り出して言った。
「場所が変わったわ、ついてきて!」
「ど、どうなったんですか?」
「貨物船は回避できたんだけど、積み荷が散乱してコンテナの一つが衝突軌道上にあるそうなのよ」
「コンテナなら耐えられますか?」
「積み荷によるから分かんないって……」
「そんなぁ……」
「急ぎましょ! 衝突までもう時間がないわ!」
一難去ってまた一難。コンテナが衝突してくるのはもう確定らしい。外壁が耐えてくれるかどうか……。俺は暗い想いに押しつぶされそうになりながらミネルバの後を追った。
「ハァハァ……。ここよ、準備して! 来るわよ!」
ミネルバは粘着ゴム銃のロックを外しながら言った。



