「なぜマリアンは我々の権能を無効にできたのかしら?」
ミネルバはコーヒーを飲みながら魔王に聞く。
「OSレベルでハックしないとそんな事できませんが……、そんな事例ここ数千年一つもないですよ。不可能です」
「でも、やられちゃったわよ?」
ミネルバは口をとがらせて、不満げに言う。
「そうなんですよね……」
重苦しい空気が流れる。
俺は仮想現実空間がどうやって作られて、どう運用されているのか全く分からないので何とも言いようがない。ただ、ソフトウェア的に不可能な事をやられたとしたらハードウェアが問題なんじゃないかと思った。米中間でそれで揉めていたのを思い出したのだ。
「サーバーに……、仕掛けをされたってことは無いですか?」
俺は恐る恐る横から言う。
「えー!? そんなの海王星に行って直接いじらないと不可能よ」
「行けないんですか?」
「行けはするけど……。あの子がハードウェアの知識なんてあるとは思えないんだけどな……」
iPhoneを巧みに叩いていた魔王が叫んだ。
「ミネルバ様! 海王星の渡航記録にマリアンの名があります!」
「な、なんですって!? そんな話聞いてないわ……」
目を真ん丸く見開くミネルバ。
「海王星にはサーバーしかありません。本来ならわざわざ行く意味などないです」
魔王は肩をすくめる。どうやらサーバーに何らかの仕掛けをした線が濃厚だ。
「じゃ、今すぐ渡航申請出して! 魔王はバックアップ、ソータ君、きみはついてきて」
「了解」「わかりました!」
魔王はタカタカと器用にiPhoneを叩いた。
エステル、待ってろよ! 俺が必ず迎えに行ってやる。
◇
目が覚めると俺は寝台のようなベッドの上にいた。ゆっくりと体を起こすと……、全裸だ。服はどこにあるんだろう?
俺がキョロキョロしてると、
「ソータ君、行くわよ!」
そう言う声がしてカーテンがガッと開いた。
ミネルバは猫の身体に戻っていて、こちらを見る。
「うわぁ!」「キャ――――!」
「なんでまだ裸なのよ!」
「服がどこにあるか分からないんですよ!」
「もう! 仕方ないわねぇ……」
ミネルバが空中に現れたタッチパネルをパンパンと叩き、俺は自動的に服が装着された。
3-16. 一キロメートルの地球
「さあ! 行くわよ!」
ミネルバはコーヒーを飲みながら魔王に聞く。
「OSレベルでハックしないとそんな事できませんが……、そんな事例ここ数千年一つもないですよ。不可能です」
「でも、やられちゃったわよ?」
ミネルバは口をとがらせて、不満げに言う。
「そうなんですよね……」
重苦しい空気が流れる。
俺は仮想現実空間がどうやって作られて、どう運用されているのか全く分からないので何とも言いようがない。ただ、ソフトウェア的に不可能な事をやられたとしたらハードウェアが問題なんじゃないかと思った。米中間でそれで揉めていたのを思い出したのだ。
「サーバーに……、仕掛けをされたってことは無いですか?」
俺は恐る恐る横から言う。
「えー!? そんなの海王星に行って直接いじらないと不可能よ」
「行けないんですか?」
「行けはするけど……。あの子がハードウェアの知識なんてあるとは思えないんだけどな……」
iPhoneを巧みに叩いていた魔王が叫んだ。
「ミネルバ様! 海王星の渡航記録にマリアンの名があります!」
「な、なんですって!? そんな話聞いてないわ……」
目を真ん丸く見開くミネルバ。
「海王星にはサーバーしかありません。本来ならわざわざ行く意味などないです」
魔王は肩をすくめる。どうやらサーバーに何らかの仕掛けをした線が濃厚だ。
「じゃ、今すぐ渡航申請出して! 魔王はバックアップ、ソータ君、きみはついてきて」
「了解」「わかりました!」
魔王はタカタカと器用にiPhoneを叩いた。
エステル、待ってろよ! 俺が必ず迎えに行ってやる。
◇
目が覚めると俺は寝台のようなベッドの上にいた。ゆっくりと体を起こすと……、全裸だ。服はどこにあるんだろう?
俺がキョロキョロしてると、
「ソータ君、行くわよ!」
そう言う声がしてカーテンがガッと開いた。
ミネルバは猫の身体に戻っていて、こちらを見る。
「うわぁ!」「キャ――――!」
「なんでまだ裸なのよ!」
「服がどこにあるか分からないんですよ!」
「もう! 仕方ないわねぇ……」
ミネルバが空中に現れたタッチパネルをパンパンと叩き、俺は自動的に服が装着された。
3-16. 一キロメートルの地球
「さあ! 行くわよ!」



