百個束ねたものを東西南北の各城門に設置して、火をつければ百分間ていどは城門を守れるだろう。その間に魔物の密集している所に殺虫剤を放り投げて行ったり、飛行魔法を使える人に十個くらい束ねたものを持って飛んでもらえば、そこそこ減らせるに違いない。
 ちょっと高いが、殺虫剤代はギルドから出してもらえばいい。
 後はそんなにまとまった数をどう調達するかだな……。
 俺は問屋さんに次々と電話していった。どこも一見さんお断りという感じで断られたが、最後に現金一括なら卸してもいいという所が見つかった。行ける! 行けるぞ!

 盛り上がっていると、
「おじゃましますぅ」
 と、声がする。エステルだ。
「はい、どうぞ!」
 答えるとエステルが入ってきた。
 胸の所に編み紐のついたピンクのワンピースを着て、金髪はきれいに編み上げ、花の髪飾りを付けている。さっきとはうって変わって綺麗になったエステルにドキッとする。
「あ、あれ、エステル、随分と綺麗に……なったな」
「うふふ、ありがとうですぅ」
 頬を赤らめるエステル。
「そろそろ……、夕飯の時間かなって思って……」
 さっきの女の子たちに対抗しているらしい。
「あ、そうだね。じゃ、何食べようか?」
「こっちのレストランがいいな……」
 エステルは恥ずかしそうにうつむく。クラウディアに乱入された件もあって相当警戒しているようだ。
「分かった。じゃあ、イタリアンでも予約するか……」
 俺はネットで近所のイタリアンを探し、評価の高い所から適当に選んで予約した。

        ◇

 運河に沿ってしばらく歩き、こざっぱりとした小さなイタリアンレストランを見つけた。ガラス窓から中を見ると、立派なピザ釜には炎が上がっている。これは期待できそうだ。

 窓際の席に案内してもらって、とりあえずスパークリングワインを頼み、それから適当に前菜とサラダと肉料理、ピザを頼んだ。
「それで魔物退治の方法は見つかったですか?」
「あぁ、何とかなるかもしれない。バルザンってあったろ、モンスターハウスに放り込んだ奴。あれを束ねて時間差で噴出させて、それをみんなに持ってもらおうかと思って」
「なるほどですぅ!」
 エステルは目を輝かせた。
 丁度来たワインで、乾杯する。
「それでは魔物討伐の成功を祈って! カンパーイ!」「かんぱーい!」