就活か魔王か!? 殺虫剤無双で愛と世界の謎を解け!~異世界でドジっ子と一緒に無双してたら世界の深淵へ

 いきなりの事で驚いたが、ウェディングドレスはマーメイドラインの大人びたエレガントな物で、長身のエステルにピッタリと似合い、花をあしらった純白のレースが華やかさを演出して、思わず見ほれてしまった。
「美しい……」
 俺がつぶやくと、
「うふふ、夢みたいですぅ」
 と言ってエステルは幸せそうに顔をほころばせた。
 ドレスのすそが濡れちゃうのではと心配したが、しっかりと防水してあって綺麗に水面に浮いていた。
「写真撮影しましょ。前撮りよ、前撮り!」
 そう言って先輩はエステルに近づくと、髪の毛を器用に整え、大きな花の髪飾りを編み込んだ。そして、最後に手早く化粧を施して、
「はい、それじゃ並んで~!」
 そう言って、先輩は俺とエステルを並ばせる。
「はい、笑って笑って~! チーズ!」
 美しいウユニ塩湖の夕景をバックにiPhoneで写真をパチパチと撮った。
 俺とエステルは見つめ合う。自然と笑みが浮かんでしまう

「はい、じゃ、キスして~」
 先輩は無茶振りする。
 俺もエステルも驚き、とまどう。
「結婚式ではするんでしょ! はい、恥ずかしがらない!」
 先輩がせっついてくる。
 俺が困惑していると、エステルが俺の方を向いて目を閉じた。俺も覚悟を決め、そっとくちびるを重ねる。すると、エステルが舌を入れてくる。
 え!?
 俺は驚いたが、つい合わせてしまう。
 二人は舌を絡ませ、想いを確かめ合った。
「はいはい、写真撮影中ですよ!」
 盛り上がる二人に先輩は呆れて言う。
 すっかり太陽は沈み、茜色から群青への美しいグラデーションが広がる中、俺たちは見つめ合い、幸せに包まれながら微笑んだ。

      ◇

「ねぇ、ソータ、管理者(アドミニストレーター)やらない?」
 先輩がいきなり聞いてきた。
「え? それは就職的な意味でですか?」
「まぁ、専業管理者(アドミニストレーター)に就職ってことになるでしょうね。マリアンの枠が空いたからミネルバの下で副管理人からね」
「え? 給料とかはどうなるんですか?」
「給料? あんたバカね。管理者(アドミニストレーター)ってのはこういう事よ!」
 そう言うと先輩は扇子を取り出し、パチンと鳴らした。
 すると、空から膨大な数の金貨が山のように降り注ぎ、あっという間に小山を作った。
「うはぁ!」