就活か魔王か!? 殺虫剤無双で愛と世界の謎を解け!~異世界でドジっ子と一緒に無双してたら世界の深淵へ

「俺はこの四日間エステルと一緒に命がけの冒険をしてきた。そして気が付いたんだ。これからもずっとエステルと一緒に人生を歩んでいきたい。エステルじゃないとダメなんだ」
「え?」
 どういうことか分からず、怪訝(けげん)そうなエステル。
 俺は大きく息をつき、しっかりとエステルの目を見て言った。
「結婚……、してくれないか?」
「はぁっ!?」
 面食らってポカンとするエステル。
「俺は一生エステルを大切にする。だから考えて欲しい」
 俺は微笑みながらも涙をたたえた目で言った。
 エステルが驚き、固まり……。そしてゆっくりと首を振りながら後ずさりする。

 やっぱりだめか……。そりゃそうだよな……。
 これで奴隷決定……。人生終わった。
 でも、最後にエステルに会えてよかった。もう悔いはないな……。

 と、その時、いきなりエステルが金色に光り輝いた。
「うわぁ!」
 俺はまぶしさに目がくらみ、よろよろと後ずさる。一体何がどうなったのか? エステルは無事なのか?

 夕闇のウユニ塩湖に輝く黄金の光、それは水面に反射され、まばゆい光の筋がいくつも天へ向かって伸び、辺り一面に荘厳な雰囲気を醸し出した。

 やがて光は徐々に弱まり、また静かな夕闇が戻ってくる。

 そっと目を開けると、そこには大人の女性が目を閉じて立っていた。立派なブロンドをたたえ、身長も俺と同じくらいだ。
「え? 誰?」
 俺が驚いていると、女性は目をゆっくりと開く。深い青をたたえた美しい碧眼だった。
「も、もしかして……」
 すると、彼女はニコッと笑って言った。
「呪いが解けたわ、ありがと」
「え? 呪い?」
「そうよ、マリアンによってかけられた呪い……、新人類(ネオエンジェル)の呪いよ」
「え? じゃあ、もう人間……、これが本当のエステル?」
「そうよ、これが本当の私……、人間の私だわ」
 俺は圧倒された。まさか、エステルがいきなりしっかりとした大人の女性になってしまうとは、全く予想もしていなかった。
「私、今までの私じゃないわよ。疑うし、嫉妬するし、計算高いわよ。マスコットみたいな都合のいい女じゃないわ。浮気なんかしたら殺しちゃうわよ?」
 エステルはそう言って鋭い目で俺を見る。
 俺は大きく深呼吸をし、言った。
「でも、心はエステルのままなんだろ?」
 エステルは目をつぶり、一呼吸置くと、