すると今度はさっき僕がカマをかけたことに関して気にしているのか変なことを聞いてきた。
「君が倒れた時救急車を呼んだ女性が近くに不気味な笑みを浮かべてる少女を見たって言うんだけどその子についても知らない?」
警察がこの情報を開示していいのか分からないが。このことはおそらく小泉明菜だろう。佐藤充が小声で安藤さんに「おい、それ言っていいのかよ」と言っているのが丸聞こえだが僕は動揺することなく、普通に返事をした。
「すみません。その少女?のことはわからないですね」
安藤さんは残念そうにしてから、
「そっか……なにか思い出したら連絡してね」
そう言ったが、僕は別に記憶を失っているわけでも、単なる馬鹿でもない。
安藤さんはそれだけ言い残して車に乗った。佐藤充は僕に手を振りながら車を走らせた。