景色を眺めながら佐々木理於くんの家に向かっているとあるものが私の視界を横切った。
「止めて！｣
「え？ここで？」
充は困惑しながらも私の指示通り図書館の前で車を止めてくれた。
「どうしたんだよ。図書館に寄りたいなら先に言えよ」
「違う。あの自転車見覚えがあると思ったら、佐々木理於くんの自転車だわ」
「よく覚えてたな」
彼の自転車は特徴があった。黒色のクロスバイクに後輪に青色のチェーンがついている。あの時、念の為自転車を見ていて正解だった。
「とりあえず中に行こ」
「いや、俺は待ってるわ｣
「え？」
「いや、だって2人で中入ってその間に帰っちゃったらダメじゃん？」
「あ、そっか」
というわけで私ひとりで図書館に入った。
中は普通に広く、充の言う通り帰ってしまっても気づかない。
中を探し始めて10分くらいがたった時後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「つけてきたんですか？」
後ろをパッと振り返るとそこには制服を着ている佐々木理於くんがいた。おそらく学校帰りなのだろう。