そのあとは何事も無かったように全ての授業が終わった。
帰りのホームルーム中先生が、
「最近この辺り物騒だから気をつけて帰れよ〜」
そう言ったがこういう時、僕はどういう顔をすればいいのだろうか。
ホームルームが終わり帰宅しようと教室から出ると霞がいつものノリとは違った様子で話しかけてきた。
「ねぇ、今日あんたの家に遊びに行ってもいい?」
急にどうしたのだろうか。何故か顔を赤くしている。
「急にどうしたの?あと、僕の家は無理だよ」
「なんで?一人暮らししてるんでしょ?まさか彼女と同棲してるとか?」
彼女はまず居ない。ダメな理由なんて簡単だ。人を殺すための刃物や血の着いたタオル、などなど置いてあるから家に入らせたくないのだ。
「確かに一人暮らししてるけど、彼女なんていないよ。でも悪いがダメだ」
なんで一人暮らししていることを知っているのかわからなかったが別に隠してるわけではなかった。わざわざ伝える程のことではないだけだ。
「そっか……。じゃあまた明日、学校で!」
そう言って少し悲しそうな顔をしてから走って帰ってしまった。なんだったんだろうか。
とりあえず僕も帰ろうとした時、僕のことを見ている視線を感じた。振り返るとそこには小泉明菜がいて、不気味な笑みを浮かべてこっちを見ていた。
仕事を初めてから大抵のことでは怖がらなくなったが鳥肌が立った。そして、彼女はそのまま後ろを振り返り去っていった。
「何だったんだ?」