「お父さんってどんな仕事してるの?」
僕が小学1年生の頃、義理の母親に僕はそう聞いた。当時は暗殺の仕事をしているなんて再婚した母も知らなかったと思う。おそらく父が嘘をついていた。
「えっとねー、人を助ける仕事をしてるのよ」
母は屈託のない笑顔でそう言った。僕はこの母の笑顔が好きだった。
僕は実の母のことなんて覚えてない。物心がついた頃には既に片親でいつの間にか母親ができていた。ついでに姉も1人。
そして、父の仕事の都合で何度も何度も転校した。今になって考えれば、定期的に場所を変えないと警察の人に怪しまれるからだろう。そんな父を僕は少しだけ恨んでいた。転校が多いおかげで友達はできない。それどころか友達を作ることすら諦めていた。
「今日はステーキよー!」
でも家は割と裕福だったと思う。それも今になって考えれば当然だった。大金がドカッと入る仕事だから。
「ねねね!今日はゲームしよ!!」
食事中に度々義姉に遊びに誘われた。僕は姉のことがだった。別に恋愛的な意味ではない。普通に姉としてだ。