まずい。おそらく小泉明菜から僕の名前を聞いてるのだろう。
「あの。お母さん、ちょっと2人にして貰えますか?」
「え?わ、わかったわ」
そう言って1階のリビングへ向かった。
「今すぐ帰れ!」
扉の向こう側にいる羽柴くんが僕に向かってそう言った。
「小泉明菜…」
その名前を言った瞬間にガタンッと物音が聞こえた。
「やめろ!その名前を出すな!」
やっぱりだ。この羽柴くんは小泉明菜に怯えている。
「大丈夫。別にそう意味で言ったんじゃないんだ。ただ、君が小泉明菜と同じ中学だったって聞いたからそいつについて少し知りたい。だから僕に小泉明菜について何か知ってることを話してくれないか」
端的にそう言った。
数秒沈黙が続いた後、キィーとドアが開いた。
「……入って」
僕だけに聞こえる声でそう言った。言われた通り中に入った。部屋は僕の今の部屋とあまり変わらず普通の高校生の部屋だった。