というわけで放課後の今、羽柴の家に案内してもらってる。
「この先を右に曲がるとすぐ羽柴って書いてある表札が見えるから。じゃあ僕はこれで」
そう言ってUターンして帰ろうとしていた。
「え?は?」
「案内はした。僕は帰るから」
どういうことだ。そんなに羽柴の家に行きたくないのか?いや、あまり深く考えすぎないで行こう。
「ここか……」
思ったよりごく普通の家だった。もっとなんか嫌なオーラとかそういうのを放っているかと思った。
ドアの前まで行ってすぐにインターホンを押した。
「はい。どちら様?」
出てきたのは女性の声だった。おそらく羽柴の母親だろうな。
「えっと…羽柴くんの友達の佐々木って言います。ちょっと羽柴くんに話があって来ました」
さすがに休み始めて1ヶ月近く経ってるのに今更来る友達ってなかなかいない。そもそも友達じゃないけど。
「ずっと部屋にこもってるんだけど、それでも良かったらどうぞ入って」
僕は言われるがまま家に入った。
「お邪魔します」
「こっちよ…」
僕が家に入ると40代位の化粧をまるでしてない女の人が手招きしていた。羽柴くんの部屋に案内してくれるのだろう。
「優斗、友達の佐々木くんが来てくれてるわよ」
すると中から突然、
「……佐々木?帰れ!」