「7月の頭…くらいかな?」
7月の頭って……小泉明菜が僕に依頼をした時くらいじゃないか。たまたまかもしれないけど。
「どこに住んでるとか分かる?」
学校にいないなら直接行って聞くしかない。
「それなら羽柴と仲いいヤツに聞いた方が早いな。」
そう言って女子二人のうちの一人がクラスの1人の男子に声をかけてこちらへ連れてきた。
「こいつの方が詳しいよ」
「ありがとう」
1人の男子を残し女子二人は自分の席に戻って行った。
「…僕に何か用?」
その男の子は随分と暗いやつだった。
「あ、うん。羽柴くんの家ってどこあるか分かる?」
そう聞くとその男の子は少し目を丸くした。
「羽柴の家なら知ってるけど、羽柴が休み始めた初日に家に行ったんだけど羽柴は出てこなかったよ。なにかにずっと怯えてるみたいって羽柴のお母さんが言ってた。」
やっぱりおそらく小泉明菜に口封じでもされてるんだろう。
「とりあえず放課後家に案内してくれないか?」
「別にいいけど僕は家まで案内するだけだからあとは自己責任ね」
自己責任って……なんだそれ。
「あ、うん。わかった」