小泉明菜はふふふと笑ってから理由を説明してくれた。
「だって私が住んでるのすぐそこだし、君の部屋私の部屋から丸見えなんだもん」
隣のでかいマンションを指さしてそう言った。
「…は?」
こいつ、父親とは一緒に暮らしてなかったのか?
「私も君と同じで一人暮らしだよ〜」
僕の心を覗かれてるみたいにそう言った。
「そんなことはどうでもいい。……とりあえず自首しろよ」
小泉明菜がギリギリ聞こえる声の大きさでそう言った。このまま僕が疑われたままだとこれ以上仕事もできないし、復讐も出来なくなる。
「いいけど。そしたら君のことも口走っちゃうかも〜」
「っんな」
「前にも言ったけど、私は君に協力したいだけなんだ〜」
「協力って……復讐のか?」
それしかないのはわかっていたが、違うことであって欲しいと願ってる自分が少なからずいて、思わず聞いてしまった。
「まぁ意味ないけどね〜」
「は?どういうことだ?」
「教えるわけないじゃん!要は済んだし私は帰るから」
「は?ちょっと待てよ」
僕の呼び掛けに振り返ることもせず、小泉明菜は家に帰って行った。目的がまるで分からない。平気で実の父親を殺したやつだ。目的があるに違いない。でも、いくら考えてもその答えは分からなかった。