「あ、そうなんだ。で、その子とのデートどうだったの?」
「どうだったって……楽しかったよ?でもなんか帰る時に誰かから電話が来て、顔を青ざめてタクシーに飛び乗っちゃったけど」
「その子とはその後話したの?」
「ううん。電話番号とか連絡先とか持ってないから明日学校で話そうと思ってる」
私はその子の連絡先を持ってる。もちろん仕事の都合でだ。
「そっか……。その子と遊んで他に変わったこと無かった?」
なるべく自然に仕事の話と悟られないようにそう聞いた。
「変わったこと?もしかしてまだ理於くんのこと疑ってるの?」
速攻でばれた。さすが私の娘だと言いたいが…。
「違うわよ。ただ純粋に気になっただけよ」
「そっか!えっと…変わったことは特に何も無かったけど。」
「そっか……」
情報を得られなかったのは残念だけど、それからは世間話などをした。その時の私は完全に仕事のことを忘れていた。
「はい。これあげる!」
さっき帰りに買った誕生日プレゼントをご飯が食べ終わったあと渡した。
「これって……カバン!?」
少し高いショルダーバッグを買った。随分前から欲しがっているのを私は知っていた。