「あの子はグレーだわ」
パトカーに戻り後輩たちにそう伝えた。霞の言う通り勘違いなのかしら。
「グレー?」
「ええ、どちらとも言えない」
「と言うと?」
あの子が持っていた沢山の靴、何か見覚えがあると思ったらこの街の近くで起きてた連続殺人事件の被害者と同じ靴が多い。気のせいかしら。
「あの子…言ってることは間違ってないんだけどね…。とりあえず隣町の病院へ向かいましょう」
「え?病院?」
「いいから」
パトカーのサイレンは鳴らさずに私たちは病院へ向かった。もちろんあの子の証言の確認を取るためだ。
「ここで待ってて。すぐ終わるから」
「了解です」
後輩たちをパトカーに残し病院へ入る。
中に入るとそんなに人はいなかった。病院の受付の人にこっそり警察手帳を見せると電話で医院長を呼んでくれた。
『医院長、警察の方がいらしてます』
そう言って電話を切り「こちらへどーぞ」と中へ入れてくれた。
「警察の方が僕に何か用かね?」
中に入ると50代位の頭のてっぺんの髪がなく、白髪のおじいちゃんがいた。
「ええ、この前ここの病院で高校生の男の子が入院してましたか?」
「ああ、してたよ。その子がどうかしたのかい?」
「はい。ある事件現場の近くで倒れていたところを発見されたらしいんです。その子について何か知ってることだったり不審に思ったことがあれば教えていただきたくて……」
すると医院長は少し悩んでから口を開いた。
「それなら私にじゃなくて発見して救急車を呼んでくれた女性に聞いてくれ」