「いいの!今はまだ高校生してたいもん!」
高校生をしたい…か。僕には永遠に無理だろうな。あくまで今は高校生を演じているだけに過ぎない。
「そっか……じゃあ好きなだけいるといいよ」
「ありがとう!」
そう言って霞はまた漫画を本棚から取り出して読み始めた。そして僕は再び新聞を読み漁った。
「あのさぁ」
読み始めて数分してから霞が漫画を棚に戻しパソコンをいじっていた僕に話しかけてきた。
「なに?」
パソコンに集中しながら軽く返事をした。
「今度さ……私とデートしてよ」
「ああ、いいよ………ん?」
霞のことだから軽いお願いかと思って返事をして我に返ってパソコンをいじるのをやめてパッと霞の方を向いた。
「……いいの?」
霞はじっとつぶらな瞳で僕を見つめていた。
「もう1回言ってくれる?」
僕の聞き間違いかもしれないと思いそう聞いた。
「だから!私とデートして?」
今度ははっきりと聞こえた。
「デート?僕と?」
オウム返しすると霞は深く頷いた。
「えっと……」
午後6時を回った時、霞はチラッと時計を見て、
「もう帰らなきゃ!じゃあ今週末デートね!絶対だからね!」
僕の話も聞かずに僕の家を後にした。