「何見てるの?」
漫画を読んでいた霞はいつの間にか僕の後ろにいた。
「え?ああ、ちょっとね……最近物騒だなって思って……」
苦しい言い訳かもしれないけど仕方がない。
「そうなんだよねー。うちのお母さんも危ない人がいるから気をつけなさいって言ってなんか防犯ブザー持たされたし」
霞は少し笑いながらそう言った。
その危ない人がここにいる。傍から見たからおかしな光景だ。
「さすが…警察官だね」
ネットの記事をスクロールしながらそう言った。
「うん!かっこいいようちのお母さん。だから私も警察官になるんだ」
彼女は僕の本当のことを何も知らない。彼女が警察官になったら僕の敵だ。そして小泉明菜が味方となるかもしれない。そんな訳の分からない事を考えていた。
「へー。頑張ってね。てか、それならこんなところにいちゃダメなんじゃない?」
別に今すぐ帰って欲しいとかそういう意味ではない。
警察官になろうとしている人が僕なんかに関わって欲しくない。ふとそう思った。