「とりあえず君のことは内緒にしてあげるから。安心して?というかなんでこんなことしてるの?」
やっぱり、聞かれるとは思っていたことだ。
「なんでって……」
話すか迷った。そんな僕の様子を見て彼女が、
「誰にも話さないから安心して?ほら!はやく!」
急かすようにそう言った。不意に思ったのは、たとえこいつが言いふらしたとして誰が信じるのだろうか。だから話すことにした。僕がなぜこの仕事しているのか本当の理由を。
「僕の父親は殺し屋だった。殺し屋というか暗殺者だ。沢山殺したんだ、悪いやつらを。でもそれをよく思わない人たちも当然いた。そいつらの中の誰かが僕の家を燃やしたんだ。僕はその日たまたま出かけてて被害には会わなかったけど、1人間に合わない人がいた。それが僕の義理の姉だ。義姉さんは間に合わなかったけど両親は逃げることに成功して、今ものうのうとどこかで生きてる。でも別に両親が憎い訳じゃない。僕は放火をしたやつを憎んでる。そいつを必ず捕まえてこの手で殺す。あの事件から7年が経った今でもその犯人は捕まってない。できるだけ苦しい思いをして死んで欲しい。だから父親の仕事をそのまま僕が引き継いだ。」