僕が黙っていると今度はターゲットが口を開いた。
「その声……明菜か?」
驚いたことにターゲットはこいつと知り合いだった。
そして小泉明菜はターゲットにゆっくりと近づいた。
「だれそれ!」
そう言って左手に隠し持っていたのこぎりを取り出して耳をギゴギコとし始めた。うるさいくらいに断末魔が聞こえたが小泉明菜がその手を止めることは無かった。僕もそんな彼女を止めることは出来なかった。
ただただ黙って見てることしかできなかった。少しでも喋ったら僕が殺されそうで怖かった。
耳が切り終わってすぐに彼女が発した言葉に耳を疑った。
「へ〜、絵の具の方が若干赤いね!先生が正しかったのか!」
「明菜……明菜なんだろ…なんでこんなこと…」
泣きながら彼女に向かってそう言ってる姿を僕は黙って見ていた。
「だから!だれそれ!」