『7月3日』
学校から帰ろうとしたらまた霞に呼び止められた。
「今日も行っていい?」
「ごめん、今日は無理かな」
今日はターゲットの観察をする日だからだ。
「そっか……。来週から夏休みだよね!毎日行ってもいい?」
それは仕事次第だ。なんて言わないけど。
「毎日はちょっと……」
そう言いかけたところでまたあの日のように小泉明菜が不気味な笑みでこちらを見ていた。
「どうしたの?」
霞にそう言われてハッと我に返った。
「え?いや、なんでもない。僕用事あるから帰るね」
すぐにその場を離れたかった。小泉明菜のあの目が僕は嫌いだ。死んだ魚のようなあの目が。