霞は動揺を隠せていなかった。当たり前だ。クラスメイトが裏でこんなことをやっていたんだ。
「ちょっと…2人とも…なんでそんな涼しそうな顔してるの?ちょっと待って…理於さぁ前からずっと小泉明菜について知りたがってたよね。もしかして一緒にやってたの?」
なんて言ったらいいか分からなかった。
「実は…」
でも、霞には話すべきだと思った。僕が今までやってきたこと。そして、正義のヒーローでは無いこと。
1時間以上かけて2人に全てを話した。もちろん安藤さんが知らないことも含めて。全て。今まで自分がやってきたこと全てを。
「黙っててごめんなさい。ほら、安藤さん…言ったでしょ…?僕はあなたが思ってるより悪人なんですよ…」
そう言ったら霞が立ち上がり僕に抱きしめてきた。
「………え?」
霞の大粒の涙が僕の顔を伝った。
「今まで気づかなくてごめん」
霞は僕の耳元で安藤さんと同じことを言った。
僕は別に同情して欲しかったわけではない。でも何故かその霞の腕は暖かった。
不意に安藤さんを見るとそんな様子を黙って見ていてくれた。