「ありがとう……」
安藤さんが僕に放った第一声がお礼だった。
「それと……ごめんなさい。気づいてあげられなくて…」
そして何故か安藤さんは僕に謝った。
「……なんで謝るんですか」
「理於くんが辛い思いしてきたのに私…夫のことで頭がいっぱいで何も気づいてあげられなくて……」
「いいですよ。もう終わったことですから…。それにあの森で小泉明菜が言っていたことが事実ですから。僕は安藤さんを騙して、殺し屋の仕事をしていた。高校生になってからつい最近まで…。」
安藤さんは僕の話を真剣に聞いてくれていた。
「義姉さんの復讐のために…でも僕はやり方を間違えました。最初から安藤さんみたいな立派な警察の人に頼んでいれば良かったんです。なんで安藤さんが謝るんですか。僕の方が謝りたいくらいです。すみません。謝ったからって死んだ人が生き返ることはないのはわかってます。だから…安藤さん…僕を捕まえてください。」