念の為霞にメールをしておいた。
『私が10時までに帰らなかったら警察に電話して欲しい。多分大丈夫だろうけど』
と送った。その後、霞から何件か電話やメールが来たがそんなことを気にしてる余裕はなかった。
彼と同じ電車に乗って、彼と同じ歩幅で気づかれないように歩き、後を追った。胸ポケットを触ると拳銃はしっかり持っていた。もちろん護身用のだ。
「ここって……」
着いた場所は随分前に起きた事件現場の森だった。
入るか迷ったが、理於くんにもしものことがあったらと思うと怖がってはいられなかった。
昼間の森は入ったことあったけど夜の森となるとさすがに……。鳥の鳴き声は昼間はいい声を奏でるけど夜となると恐怖の演奏でしかない。小枝の揺れもそうだ。昼間はカサカサなってて心地いいけど夜となると恐怖を倍増させる道具でしたない。
でもそんなことを言ってる場合ではなかった。暗すぎて理於くんがどこへ行ったのかわからなくなった時、微かに話し声が聞こえた。
「それで、君が探してる『君の家を燃やした犯人』それはね。………………………………。』
よく聞こえなかったが会話の途中で理於くんがバッとポケットから拳銃のようなものをもり出したので思わず飛び出してしまった。
「やめろ!」