用事などがあるのかもしれないことを考えてなかった。一刻も早く理於くんの事件について教えてあげたかった。そして、早く夫を殺した犯人を捕まえたかった。でも、もちろん向こうの都合に合わせる。
「わかった。1時間後に君の家に行くよ」
そう言ってから電話を切った。
今から向かっても30分位で着いちゃうので一旦家に帰ろう。そう思った。
電車に乗り、駅から歩いて10分くらいで自宅に着いた。家に帰ると久しぶりに会う、霞がいた。
「あ!おかえり!」
やはり家が1番落ち着く。玄関まで迎えでてくれた娘を優しく抱きしめた。
(霞は必ず私が守るから。犯人も私が捕まえるから。あとは証拠があれば……。)
そんなことを考えていた。
「ちょっと…どうしたの?仕事に疲れたの?」
霞のその言葉にハッと我に返った。
「あ、うん。ちょっとね霞不足で…」
誤魔化すためにそう言った。本当は疲れてはいない。ただただ嬉しかった。夫を殺した犯人がもうすぐ捕まるから。