歩いて20分くらいが経ち、夫の眠っているところに着いた。
水桶と柄杓を受け取り、水を汲んで夫に水をかけた。そして、アングレカムの花を取り替えて、線香を置き、手を合わせた。
「……あなた。もう少しだから。もう少しだから待っててね……」
そう言った時、彼との思い出が頭をよぎった。
付き合うようになったのは彼からの告白だった。それまでは片思いだと思ってた。仕事熱心な彼はずっと事件のことだけを考えていて…恋愛なんて興味ないと思っていた。
そんなある日、私は彼に食事に誘われた。その時は飛ぶように嬉しかった。多分、彼は後輩を食事に誘うのも仕事の一環だと思っている。でも、それでも良かった。それから何回か食事に誘ってもらえるようになって何回目かの時に向こうから私に告白してきた。その時は嬉しすぎて泣いてしまったのを覚えている。