理於くんとの約束もそうだけど、他人に話せるようなことではない。それに…。
「ちょっと休憩して飯でも行くか?」
いつも通り昼食に誘ってくるがもちろん断る。
「ごめん、ちょっとこれから用事があるの」
そう言って部屋を出た。現在時刻は13時…。確か学校が終わるのは16時頃、それまだ3時間程ある。
「……よし」
とりあえず電車に乗って夫に会いに行こう。伝えるべきこと。事件がもうすぐ終わりを迎える。長かった。まるで解決出来なかった事件が理於くんのおかげで。
電車に揺られること1時間。
ひと駅前で降りて花屋さんに寄った。
「…この花を一つください」
そう言ってアングレカムの花を指さした。
すると、花屋さんは優しく微笑んで、
「ずっと一緒にいたい人がいるんですね…」
そう言ってくれた。だから私も優しく微笑んで、
「……はい。もう居ない人ですけど……ずっと一緒にいたい人です。」