「あ、うん。君のお父さんなんだけど…随分前に亡くなってる…」
「………随分前?」
あの火事の日に死んだ?じゃあ小泉明菜の言ってることは嘘?もはや訳が分からなかった。でも安藤さんが言った次の一言でさらに訳が分からなくなる。
「ええ。15年前の事件に巻き込まれてね」
15年前?火事が起きたのは8年前……。
「…ちょっと待ってください。僕の家で火事が
起きたのは8年前ですよ?僕の父はそれまで普通に生きてたんです。家事で死んだにしてはおかしくないですか?」
僕は思っていることをそのまま安藤さんに話した。
「でも記録上理於くんのお父さん…佐々木和彦さんは15年前に亡くなられてる」
佐々木和彦?誰だ?それが僕の実の父親だとしても泣けるとかそういう感情より恐怖が勝ってしまった。
「佐々木和彦?僕のお父さんの名前、清隆ですけど。人違いじゃないですか?」
安藤さんの情報が間違いであったことを伝えると安藤さんは首を横に振った。
「いや、この方で間違いない。これを見て欲しい。」
そう言ってテーブルの上に紙を乗せた。