隣町について、急いで森に向かった。
完全にあの時と立場が逆転していた。
小泉明菜がどんな靴を履いているかなんて分かるはずもないので足跡をつけないように忍び足で森の中に入った。
歩き初めて10分くらいがたった頃、カサっと音が聞こえたのですぐに木の影に隠れた。そおっと覗いてみると小泉明菜がいた。足元で何かをしているようだったが草のせいで良く見えなかった。
怖がっている暇はない。僕はポケットから拳銃を取りだし小泉明菜にゆっくりと近づき声をかけた。
「おい。こんなところで何…してんだ」
そう言いながら小泉明菜の足元を見るとそこには何も無かった。あったのは小泉明菜の足跡だけ。
「やっと来たー」
小泉明菜は血の着いたのこぎりを片手にいつもの不気味な笑みを浮かべながら僕にそう言った。彼女の持っているのこぎり…あの事件から洗ってないのか?
「……なんのことだ?」
すると今度は僕をバカにするような顔をして、
「せっかく羽柴に忠告したのに…話すなって」