『7月21日』
学校で言う放課後の時間帯、約束通り私は佐々木理於くんの家に来ている。インターホンを鳴らし彼を呼ぶ。
『鍵開いてるんで入っていいですよー』
そう言われたので一言「わかった」とだけ伝え中に入った。
中は以前入った時より綺麗になっていた。それにどこかで嗅いだことあるような匂いがした。この匂いは…
「霞を中に入れたのか?」
ギクッとでも音を立てたように理於くんはびっくりしていた。
「えーっと、すみません。僕が一人暮らしなのが羨ましいみたいで…」
そう言いながら私の分のお茶を台所で用意してくれていた。
「明日から夏休みなんだっけ?」
娘と同じ学校に通っているのだからそうなんだろうけど会話をしなきゃ少し気まずい空気になる気がしてそう聞いた。
「あ、いえ。来週からですね」
そう言いながら入れたお茶を私の前に置いた。
「そうなんだ。あ、お茶ありがとう」
とりあえずお礼だけ言って謝ろうと思った。
「ごめんなさいね、今まで疑ったりして…」
すると理於くんはクスクス笑っていた。
「あ、すみません。とりあえず疑いが晴れて良かったです」