「……それでこちらにくれる条件とはなんだ?」
本題だ。夫を殺した犯人が捕まるならどんな条件でも呑むつもりだった。娘ためにも…。私のためにも…。そして、夫のためにも…。
「はい。そちらの知ってる情報をこちらに提供すれば、あなたの夫…安藤敦也さんが殺された事件について知ってることを話します」
情報提供?なんで一般人の理於くんが私の夫の事件の犯人について知ってるのか不思議でならなかった。
「君は…何者だ?」
思わずそう聞いていた。
すると数秒沈黙が続いてから、
『それは自分でも分かりません。でも、安藤さんの望みの答えは知ってると思います。』
私の望みの答え…。それはやっぱり私の夫を殺した犯人なのだろうか、犯人を見た人だったりなのだろうか。どちらにせよ有益な情報なことに変わりはない。
だが気になるのは彼の家族のことは私よりも詳しい人がいる。
「ちょっと待ってくれ…。君の家族の事件のことは私よりも充の方が知ってると思うが…」