私は動揺を隠せてなかった。口から言葉が出てこなかった。夫が殺された事件…今まで溜まっていた悔しいさとムカつきが爆発しそうだったから。
それと、夫は事件に巻き込まれたから犯人はもう捕まえられないと思ってたから…。
ハッと我に返り今私が聞くべきことは夫の事件のことを誰から聞いたのかだということを思い出した。
「……それ…誰から聞いたの?もしかして…」
でも、私がその質問をする前に答えてくれた。あっちの条件も込みで。
『はい。安藤さんの想像通り、安藤さんの娘…霞さんに聞きました。それでお願いがありまして…。僕のお父さんを探して欲しいんです』
充から聞いてはいた。あの火事は事故ではなく事件で、その事件以来佐々木理於くんの両親が行方不明だってことを。
「えっと……理於くんのお父さん?」
少しだけ状況が飲めなかった。今回起きた事件と理於くんのお父さん…なんの関係があるのか。そして理於くんのお父さん…充から聞いた情報だとナイフやメリケンサック、拳銃などを所持していて使った形跡があったらしい。殺し屋かもしれない人…。
『はい。7年前、僕の家で火事が起きた時、両親の遺体が見つからなかったそうですね。でもあの日から父と母に会えてなくて、だから会いたいんです』
今になって会いたい理由はあると思うけど、そこは家族の事情ということで触れなかった。