『ちょっと待ってくれ…。君の家族の事件のことは私よりも充の方が知ってると思うが…』
いや、あの人に頼むのは得策じゃない。こっちにも事情があるのだ。
「あ、いえ。安藤さんでいいです。あと霞の質問には必ず答えてください。じゃあ失礼します」
『あ、ちょっと待ってくれ。切らないでくれ』
まだ聞きたいことがあるのか。それともこの条件じゃダメなのか。
「え?」
『明日は空いてるか?』
まさか直接会うのか。まぁそれでもいいか。
「明日…ですか。空いてますよ」
『なら私の家に来てくれ』
家…。霞がいるんじゃないか?まぁいたとしても僕の家に行かせとけばいい話だ。
「えっと…霞さんはいないんですか?」
安藤さんから提案したんだからいないとは思うが、
『あ、そうだな…』
いるのかよ。と心の中で突っ込んでおいた。
「じゃあ霞の事は僕に任せてください」
『え?あ、じゃあそうさせてもらおうか』
「えっと…家の場所は…」
霞の家には行ったことはない。だから普通に知らない。
『あれ?娘から聞いてるんじゃないのか?』
「あ、聞いてないですね…」
聞く理由なんて少しもなかったから聞いてない。
『じゃあ私が君の家に行くから家で待っていてくれ』
「了解です」
とりあえず交渉成立ってことでいいんだよな。