『えっと……理於くんのお父さん?』
霞の母親は理解が追いついていないようだった。
「はい。7年前、僕の家で火事が起きた時両親の遺体が見つからなかったらしいんですよ。でも、あの日から父と母に会えてなくて、だから会いたいんです」
嘘はついてない。
『……それでこちらにくれる条件とはなんだ?』
その条件は情報提供だ。
「はい。そちらの知ってる情報をこちらに提供すれば、あなたの夫…安藤敦也さんが殺された事件について知ってることを話します」
あくまで心当たりだ。僕のこの心当たりが100%事実とは限らなくてもそちらは断わると理由はないだろう。
『君は…何者だ?』
そう来たか……。何者…確かに僕は何者なのだろうか。暗殺者…。人殺し…。殺し屋…。それか、ただただ事件の真相が知りたい一般人。
「それは自分でも分かりません。でも、安藤さんの望みの答えは知ってると思います。」
警察から逃げるのではなく協力関係を結ぶ方が得策だってことに気がついた。