その夜、霞が普通に家に帰ったあと、今日借りた新聞を読んでいた。それでわかったことがいくつかある。
一つ目は僕の家で起きた火事、それはやっぱり事故ではなく事件だってこと。
二つ目はやっぱり死んだのは義理の姉だったこと。僕の火事のことはこれしか新聞には書いてなかった。
三つ目は僕の火事のことではない。でも、知る必要があったことだ。霞の父親の死についてだ。
霞の父親は元刑事である事件に巻き込まれて死んだと言っていた。でもあれは犯人がピンポイントで霞の父親を狙って殺したんだ。
知りたいことがしれたところで随分前に「なにか思い出したら連絡して」と言われ、渡された番号に電話をかけた。
『はい、もしもし』
かけるとすぐに電話に出てくれた。
「あ、佐々木理於です。夜分にごめんなさい。少し話したいことがあって…」
『あ、なにか思い出したことがあるのか?』
残念だが思い出したことなどひとつもない。
「あ、いえ。少し頼みたいことがありまして…」
『頼みたいこと?』
「はい。条件というか…。まぁ単刀直入に言います。あなたの夫は誰かに殺されてますよね」
『……それ…誰から聞いたの?もしかして…』
まだこの人は自分が霞の母親であることを僕に話してない。そして、新聞に書いてあったことは殺された刑事の名前や事件の状況などだ。
「はい。安藤さんの想像通り、安藤さんの娘…霞さんに聞きました。それでお願いがありまして…。それは僕のお父さんを探して欲しいんです」
とりあえず復讐以前に父の場所を特定してその火事が起きた日の状況を知る必要があった。