「なんか…うちのお母さんが理於のことしつこく聞いてくるんだけど。仕事の事じゃないって言ってるんだけどお母さんのことだからわかる。あれは仕事のことでなにかの事件で理於のこと疑ってる」
これはチャンスかもしれない。そう思った。
霞がいれば向こうの情報などをこちらへ提供してくれるかもしれない。
「そうなのか!?」
あえて霞の話に乗る。
「うん……。なにかしたの?」
「いや、俺は何もしてない。なんの事件か知らないけど疑いをかけられているなら晴らさなきゃいけない。だから協力してくれないか?」
シンプルかつ丁寧にそう伝えた。
「わかった!何すればいい?」
霞の優しさに漬け込んでしまった。
「とりあえずなんの事件についての疑いをかけているとか、捜査がどこまで進んでいるかとか、かな。もちろんこのことは内緒で」
すると霞は屈託のない笑顔で了承してくれた。
「あのさぁ。霞のお父さんって……」
霞は僕がいきなりその話をしたことで少し驚いてから、
「うん。事件に巻き込まれて殺された…。犯人はまだ捕まってないけど……。お母さんはその犯人を必死に探してる」
「そっか…」
僕はその犯人に心当たりがあった。それを餌に霞の母親にも僕の復讐に協力してもらおうと思った。