「ほんと、役立たずね。」
8月に入り、夏休み真っ只中。
私と匡と麗香は学校近くのカフェに来ていた。
もちろんこんな毒を吐きかけるのは麗香。
匡は悔しそうに顔を背けた。
「言い過ぎだよ、麗香。」
「全然言い過ぎじゃないわよ。
都に彼氏を作るために企画した合コンで
どうして谷くんが都を連れ出すわけ?」
「……。」
「言い訳もでないの?」
「あー、うるせぇな。
悪かったよ。次はちゃんとやるっつの。」
「夏休み空けたら男友達10人くらい増やしなさいよ。」
「アハハ!それなら一石二鳥!」
私がそう言って匡にVサインを向けると、
匡は「バカ」と小さく言って笑った。
睨まれると思ったのに…
私はコホンとわざとらしい咳払いをすると、
本題を切り出した。
「よし、それじゃ宿題やりますか!」
こうして夏休みにいつもの3人で集まったのも
みんなで協力して夏休みの宿題を進めるため。
まぁ一番バカなのは私だから、
私が二人に助けてもらうって言う方が正確だ。
部活もない私たちは夏休み中よく一緒に遊んだ。
匡は男子たちと遊んでいることもあったみたいだ。
着々とクラスに馴染んでいっているようで、
私は嬉しかった。
「匡、最近男子とどう?」
「フツー」
そっけない返事をしつつ、どこか嬉しそうだ。
「遊びにいったんだよね?どこいったの?」
「川。BBQしてた。」
「へぇ~!楽しそう!」
「たしかに、焼けたわね。」
日に焼けた匡は夏休み前と比べて
なんというか…男っぽくなった。
色だけじゃなくて筋肉も…。
部活もしてないくせに、なんで筋肉つくんだ…?
「都と西園寺は?どっか行った?」
「うん。横浜で食べ歩きしたよ、ね。麗香。」
「楽しかったわね。」
私は大きく頷いた。
「今度3人でもお出掛けしよ。
宿題だけじゃなくてさ!」
「この会は主に都のためだろ。」
「あ、ハハ…頑張ります。」
「でも、いいな。出掛けんの。」
匡の言葉に私は笑顔で頷いた。
匡のコミュ力もずいぶん上がったな…。
まぁまだ余裕の笑顔を浮かべられるのは、
私と麗香に対してだけだけど。



