二人だけの美術室。
 二人だけの美術部。
 
 私は彼を描く。
 彼は私を描く。

 一枚描き、二枚描き、三枚描き。
 十枚描き、二十枚描き、三十枚描き。
 数えるのも馬鹿らしくなるほど描き続けた。

 それが私達の一番幸せな時間だった。
 でも、今は違う。
 
 もう彼が私を描くことはない。
 もう私が彼を描くことはない。

 私達は自分達の子供を、今度は描き続けている。