その事件現場には、見知った2人の男子生徒がいた。

ひとりは、井上警護(いのうえけいご)。わたしの幼なじみだ。
もうひとりは、天上英(てんじょうすぐる)。こちらも、わたしの幼なじみだ。

「なんだって、こんなことをした!?」

天上の胸ぐらを掴んだ井上は、額がくっつくのでは?という距離で天上を責め立てる。
井上は噛みしめた唇を開き、震えた声を出した。

「そんなの、僕が知りたい…」

井上の釣り上げた天上の身体は、かかとが揺れた。

我がドッジボール部の六畳ほどの部屋に、割れた花瓶が水をキャンバスに、
花を散らしていた。

この花は、白瀬が持ってきてくれたものだ。

井上さんみたいですね、と話していたのを覚えている。

大きなひまわりは、確かにどっしりと、いつも見守っていてくれる井上に似ている。大きな身体に、大きな心。小さくて可愛いものが好きな、そんな彼に。

井上は、彼女が選んで持ってきてくれた。それだけで嬉しかっただろうに、そんなことを呟いた彼女にまた愛が重くなった模様だった。白瀬への愛が。

これは、まぁ…地雷だろうな。

「丸井さま…どうしましょう…」

不安そうな表情を浮かべた彼女を安心させるように、にっと口角を上げた。

「よし!ドッジボールをしよう!!」

「…は?」「え、?」「丸井さま!!?」