「丸井さまーーー!!!」
トタトタと、軽快とは言えない足音が廊下に響く。
その声と音に振り向くと、後輩の白瀬このみが近づいてくる。
わたしは声をあげた。
「やぁ、白瀬。そんなに急いでどうしたんだい?」
「大変なんです!部室が!!私と丸井さまの愛の巣が!!!」
愛の巣…、ドッジボール愛のことかな?
わかるわかる「ドッジボール愛」の巣だよな!部室は!
何が起こったのかはよくわからないが、大変なのは彼女の上下する両手でよくわかる。パタパタと手首を動かす様はまるで鳥の雛だ。
「とりあえず、来てください!」
そう言うと、彼女はわたしの手首を握り駆け出した。
廊下は走るものではありません。
まぁ、走ると言ってもわたしから見たらただの早歩きだが…。
身長差の歩幅が理由か、それとも彼女の軽快とは言えない足運びが原因か…?
そんなことを考えながらわたしは足を運んだ。
問題の起こった、部室とやらへ。