「なんでそんなことするの!?」


あたしは自分の首にカッターの刃を押し付けられていることも忘れて叫んだ。


いつの間にか目には涙が滲んできていて、美緒がどんな顔をしているのか見えなくなってしまった。


「はぁ? さっきから言ってんだよ。お前らが、2人とも、うっとおしいから

だ!」


言葉を区切るたびに美緒の体を踏みつける咲。


小さな美緒が更に体を小さくして震える。


「もうやめてよ!」


ボロボロと涙をこぼして叫んだ。


これ以上攻撃されると美緒が死んでしまうと、本気で思った。


この3人はそのくらい容赦ないことをする人間だ。


「やめてほしい?」


美緒を蹴りつけようとしていた足を止めて、咲が聞いてきた。


あたしは何度もうなづく。


もう限界だ。


これ以上の暴力はきっと美緒は耐えられない。


だから、やるならあたしを――。