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どうして急に大崎くんの気持ちが変化したのかわからないまま、次の登校日になっていた。


あたしの体の傷はすっかりよくなり、もう薬を飲まなくてもいい状態にまで回復していた。


自分の回復力に驚きながらA組のドアを開けると、咲たちはまだ登校してきていなかった。


いつもは早い時間に来ているのに珍しいことだ。


「あ、ナナちゃんおはよう」


先に来ていたクラスメートに挨拶をされてあたしは立ち止まって目を見開いていた。


こんな風に挨拶されたことは久しぶりで、驚いてしまったのだ。


人違いかと思ったが、A組にナナという名前の生徒はあたししかいない。


それに、クラスメートはあたしへ視線を向けているから待ちがいなさそうだ。


「お、おはよう……」


ぎこちなく挨拶をして、自分の席に座る。


すると次から次へとクラスメートたちがあたしに挨拶をしてくるのだ。


今日は一体どうしたというんだろう。


返事をしながらも、日ごろのことを思い出すと不信感が生まれてしまう。


それでも特になにもなにまま、咲たちが登校してきた。


「大丈夫だって」


咲が真里菜にそう声をかけている。


真里菜の顔は真っ青で、目には涙が滲んでいるようだ。