あたしはドアに手を当てて無理矢理こじ開けようとした。


しかし、そのくらいの力でどうにかなるものではなかった。


「チビのくせにかばってんじゃねぇよ!」


咲の怒鳴り声の後、ガンッ! と大きな音が聞こえてきて振り向いた。


見ると、床に美緒が転んでいる。


右足を抑えているから、きっと足を蹴られ倒されたんだろう。


「美緒!」


慌てて駆け寄ろうとしたあたしの前に立ちはだかったのは真里菜と光だった。


真里菜の手にはカッターナイフが握り締められている。


あたしは動きを止めて真里菜を見つめた。


「お前はここで見てろ」


真里菜はそう言うと素早くあたしの後ろに周り、後ろからカッターの刃をあたしの首に押し当ててきたのだ。


ヒヤリとした刃の冷たさに全身から血の気が引いていく。


まさか本当に刺すことはないはずだ。


それでも足がガクガクと震え始める。


「ナナ……」