「やれ!!」


咲が叫んだ瞬間、真里菜が頭上にカッターをかかげた。


そして間髪いれずに振り下ろす。


逃げようと視線を移動した先にいたのは、咲だ。


咲はニヤついた笑みを浮かべてあたしの逃げ道に立ちふさがった。


逃げられない!


恐怖から大きく息を吸い込んで、咄嗟に身をかがめていた。


今のあたしにできることはそれくらいのことだった。


身をかがめ、頭をガードして息を殺す。


「あああああ!!」


真里菜の叫び声が聞こえてくる。


「あははははっ!」


咲の笑い声も聞こえてくる。


あたしはギュッときつく目を閉じて痛みを待つしかなかった。


そして……ザクッ!


カッターの刃がどこかを切り付ける音が聞こえてきた。


それは肌を切り裂くとても不快な音。


しかし、いつまで待っても痛みは襲ってこなかった。


あれ……?