咲が振り向き、面倒くさそうな表情を浮かべる。


「抑えててよ」


咲の言葉に反応して、真里菜と光があたしを後方から羽交い絞めにした。


「やめて! それだけはやめて!」


美緒はまだ生きている。


今から病院へ運べば大丈夫かもしれないんだ。


「最後の仕上げなんだから黙ってて」


咲はあたしに近づくと、美緒の靴下をあたしの口にねじ込んできた。


喉の奥までねじ込まれ、むせる。


それでもあたしは抵抗した。


声に出なくても叫んだ。


咲は含み笑いを浮かべて美緒に近づくと、ナイフの咲を美緒の胸に押し当てる。


「あなたは絶対様です」


「!!」


声にならない悲鳴。


研ぎ澄まされたナイフは勢いをつけなくても、美緒の胸に入っていく。


ズズッズズッと、ゆっくり、でも確実に奥底へと侵入していく。


途中で美緒が激しく体を痙攣させた。


ナイフがどこかの臓器へ到達したのだろう。