やらなきゃあたしがやられるんだから。


だから、仕方がないと自分に言い聞かせることしかできなかった。


「ぜ、絶対様に……」


今までで一番声が震えた。


涙で世界がぼやけて見えて、目の前にいる美緒の姿もぼやけて見えた。


体が震えてうまく立っていることもできない。


それでもあたしは木片を持つ手の力だけは緩めることができなかった。


これが今のあたしの本心なのだと、自分自身で気がついた。


「大丈夫だよ、ナナ」


美緒がそう言うのと、あたしが「絶対様におなりください」と叫び、木片を振り下ろしたのは、ほぼ同時だった……。