だけど、2人ともあたしたちを助ける気はさらさらなさそうだ。


「どこ見てんだよ!」


真里菜の怒号にビクリと体を震わせた。


視線を戻すと、真里菜はすでにカッターナイフを振り上げている状態だった。


「このクズ女が!!」


真里菜が叫んでこちらへ向けてカッターを振り下ろす。


蛍光灯の光で刃がギラギラときらめいて、それはあたしの終わりを告げているように思えた。


咄嗟に体を転がして横によける。


しかしここは体育館倉庫の中だ。


少しよけただけで積み上げられている運動用マットとぶつかってしまった。


他にもボール入れのカゴや跳び箱などがあたしの行く手をさえぎっている。


どうしよう。


これじゃ逃げられない。


万が一真里菜が本気で襲ってきたら逃げられない!


背中にマットの存在を感じながらジリジリと迫ってくる真里菜を凝視する。


とにかく、真里菜から視線を離しちゃいけない。


真里菜が攻撃をしかけてきた瞬間に逃げないといけないんだから。


あたしはゴクリと唾を飲み込んで真里菜を見つめた。


真里菜の目はカッターの刃と同じようにギラギラ輝き、獲物を追い詰めているように見えた。