死ぬ間際の恐怖を全身で感じているのがわかった。


あたしはスカートからスマホを取り出して、そんな咲の動画を撮影しはじめた。


「な、なにを……」


「美緒の仕返し」


美緒は恥ずかしい姿を咲たちに撮影された。


それならあたしは、それよりももっと残酷な姿を撮影する。


美緒があたしのために復讐してくれたように、あたしも美緒のために復讐をする。


「そ、そんなことしてないで助けてよ!」


咲が懸命に手を伸ばしてくるが、あたしはその手を掴まなかった。


スマホの画面の中で咲が暴れているのがわかる。


そして……。


「バイバイ」


美緒がそう言った次の瞬間、咲の体は空中へ投げ出された。


大きく見開かれる目。


それがあっという間に遠ざかり、ドシャッ! という音がして咲の体は地面に叩きつけられた。


灰色のコンクリートはジワジワと赤色に染まっていき、あたしはようやくスマホを下ろした。


ここにいたら怪しまれてしまう。


そう思って美緒へ手を伸ばしたときだった。