おもしろくて、思わず噴出してしまった。


「ちょっと。早く教えてよ!」


咲があたしの体を両手で押した。


あたしは壁に手を突いて体のバランスを整える。


そして咲をにらみつけた。


今のあたしは咲と対等だ。


いや、もしかしたらあたしのほうが上かもしれない。


なにせクラスメートも絶対様も、あたしに味方をしてくれているんだから。


絶対様について説明しようとしたとき、不意に咲が悲鳴を上げて後ずさりをした。


その視線はあたしの後方へ向けられている。


あたしは怪訝におもいながら振り向いた。


「美緒!」


そこに立っていたのは美緒だったのだ。


今の間に現れたみたいだ。


「な、なんでここにいるの!?」


咲は小刻みに震え始めて、その場にへたり込んでしまった。


腰がぬけたんだろう。


「絶対様は人間じゃないから、どこへでも行けるよ」


あたしは咲に説明して、渡り廊下の端に設置されている自販機に向かった。